- 1. 町田市で味わう地場農産物と街のグルメ
- 1-1. 駅前の飲食店と都市農業を分けて知る町田市の食文化
- 1-2. 町田産農産物「まち☆ベジ」と都市農業の現在
- 1-3. トマト、ナス、キュウリなど季節の野菜を直売で楽しむ
- 1-4. ブルーベリーや花ゆずなど加工品に広がる町田産の味
- 1-5. 相原町のカトウファームで知る卵とプリン
- 1-6. 岡直三郎商店の醤油に残る町田の醸造文化
- 1-7. 井上糀店の味噌など地域に残る発酵食品
- 1-8. 「まちだ名産品」で選ぶ和菓子、洋菓子、米菓
- 1-9. 原町田や森野で探す昔から続く食肉加工と惣菜
- 1-10. 町田駅周辺は一つの名物より多ジャンルを食べ歩く街
- 1-11. 町田仲見世商店街で楽しむ日常型の食べ歩き
- 1-12. 薬師池公園や野津田方面では農と観光を組み合わせる
- 1-13. まち☆ベジグルメ店で地産地消を確かめる
- 1-14. 町田グルメを巡るなら季節と移動距離を意識する
町田市で味わう地場農産物と街のグルメ

駅前の飲食店と都市農業を分けて知る町田市の食文化
町田市のグルメを知るなら、最初に押さえておきたいのは、町田駅周辺の飲食店だけで市全体の食文化を説明しないことである。JR横浜線と小田急線が交わる町田駅周辺には、和食、洋食、中華、ラーメン、カフェ、居酒屋、菓子店など多様な店が集まり、買い物や通勤、通学の人々を支える大きな商業地が形成されている。一方、市の北部や西部、相原、小山、野津田、小野路、下小山田、成瀬方面などに目を向けると、住宅地の近くに畑、果樹園、直売所が残り、野菜や果物、卵などが生産されている。町田市公式によると、市内農業は生産地と消費地の距離が近い都市農業の特徴を持ち、少量多品目でさまざまな野菜が作られている。食の楽しみ方も一つではなく、駅前で専門店を巡る方法、市内産農産物を直売所で買う方法、町田産食材を使う店を訪ねる方法、地域の菓子や加工品を土産として選ぶ方法がある。町田らしい食を探すなら、著名な一品だけを追うより、都市農業と商業都市という二つの顔を重ねて見る方が実態に近い。
町田産農産物「まち☆ベジ」と都市農業の現在
町田市が市内産農産物のブランドとして展開しているのが「まち☆ベジ」である。市の定義では、町田市内在住の農業者、または市内に農業経営の拠点がある農業者が、生産記録などを管理しながら生産した野菜、畜産物、園芸品などを対象としている。単に町田市内の店で売られている食品を指す言葉ではなく、生産地と生産者に条件がある点が重要である。町田市の農業産出額では野菜が大きな割合を占め、市公式が公表する2019年産を基礎とした資料では野菜の農業産出額は16億4000万円、品目別ではトマトが17パーセントを占める。果樹や花き、畜産も行われており、住宅地の近くで複数の農産物が作られていることが町田の農業の特徴になっている。露地栽培が中心である一方、安定供給を目的としたビニールハウスなどの施設も利用されている。市街地が広がる町田で農業が続いていること自体が、食文化を考えるうえで見逃せない要素である。
トマト、ナス、キュウリなど季節の野菜を直売で楽しむ
町田産野菜を身近に感じやすいのが農産物直売である。市内には農家が運営する直売所や共同販売の機会があり、収穫時期にはトマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ししとうなど多様な野菜が並ぶ。町田市は夏野菜について、ナス、トマト、キュウリの収穫量が東京都内でも上位に位置すると紹介しており、ブルーベリーなどの果実も生産されている。直売の魅力は、観光向けに特別な料理へ加工されていることよりも、地域で収穫された農産物を日常の食材として買えることにある。品目や販売量は季節、天候、生育状況によって変わり、常に同じ野菜が並ぶわけではない。農家の直売所では売り切れ次第終了となることもあるため、確実に購入したい場合は営業日や販売時間を事前に確認した方がよい。春から夏は葉物や果菜類、秋から冬は根菜類など、季節によって売り場の内容が変わるため、町田の農業を知るなら一度だけでなく時期を変えて訪ねるのも面白い。
ブルーベリーや花ゆずなど加工品に広がる町田産の味
町田産農産物は生鮮品だけでなく、加工品にも利用されている。町田市が行う「まちだイチオシ市場」などの販売企画では、市内農園で採れたブルーベリーを使ったソースや、町田産の花ゆず果汁を使った菓子・ゼリーなどが紹介されてきた。こうした商品は、収穫期が限られる農産物を別の形で楽しめる点に意味がある。ジャムやソース、菓子などは生鮮品と比べて持ち帰りやすく、町田土産として選びやすい。一方で、「町田産」と書かれた商品であっても原材料のすべてが町田産とは限らないため、地場産品にこだわる場合は原材料表示や商品説明を確認したい。町田の食文化は、昔から一つの郷土料理を受け継ぐ形だけではなく、都市近郊で作られる農産物を現代の加工品や飲食メニューへ結び付ける形でも育っている。
相原町のカトウファームで知る卵とプリン
市内の畜産を具体的に感じられる例の一つが、相原町のカトウファームである。町田市や町田市観光コンベンション協会の案内では、鶏卵の販売に加え、自家製プリンが「まちだ名産品」として紹介されている。プリンは新鮮な卵を使った商品として市の販売企画にも登場しており、カスタード系と卵黄を使った濃厚なタイプなどが扱われてきた。町田の農業というと野菜を思い浮かべやすいが、市の農業統計では畜産も農業産出額の一部を占めている。卵のように日常的に食べる農産物が市内で生産され、その素材を加工品へつなげる事例は、都市農業と地域の食品産業が接点を持つ分かりやすい例である。販売日や商品の種類は変更される可能性があるため、現地を訪れる際は最新情報を確認したい。
岡直三郎商店の醤油に残る町田の醸造文化
町田市で歴史のある食品事業者を挙げるなら、岡直三郎商店は外せない。町田市観光コンベンション協会は同店を創業200余年の醤油醸造元として紹介しており、市内には醸造元の醤油を生かした商品や料理に触れられる場所がある。ここで注意したいのは、町田市全体を「醤油の町」と呼ぶほど醸造業が市内全域に広がっているわけではないことである。歴史ある一事業者が現在も醤油づくりを続けていることと、市全体の代表産業であることは分けて考える必要がある。観光協会が紹介する「醤油料理 天忠」では、醸造元の醤油を生かした料理を提供しており、調味料を買うだけでなく料理として風味を確かめることもできる。町田の食の歴史をたどるなら、派手な名物を探すより、長く続く醸造や菓子、豆腐、味噌など地域の加工業を一つずつ見る方が実像に近づける。
井上糀店の味噌など地域に残る発酵食品
小山町の井上糀店も、町田の食品文化を知るうえで注目できる存在である。町田市観光コンベンション協会では1875年創業と紹介され、国産原材料を使い、昔ながらの製法にこだわった手作り味噌を扱っている。現在の町田市は大型商業施設や住宅地の印象が強いが、こうした店をたどると、地域の食がスーパーマーケットや外食産業だけで形成されてきたわけではないことが分かる。味噌や醤油は家庭料理の基礎となる調味料であり、土産品として目立つ菓子とは違う形で地域の日常食を支えてきた。店ごとの製法や原料、商品構成は異なるため、「町田の味噌はこの味」と一つに決めることはできない。それでも、地域に製造者が残り、現在も商品を買えること自体が町田の食文化の厚みを示している。
「まちだ名産品」で選ぶ和菓子、洋菓子、米菓
町田で土産を探すときに参考になるのが、市が案内する「まちだ名産品」である。認定商品には和菓子、洋菓子、米菓、食肉加工品、調味料など複数の分野があり、特定の一品だけを町田名物として固定していない点が特徴である。和菓子では「はすの実最中」「七国山」「鞍掛の松」「禅寺丸の里」「天満最中」「原町田七福神 福ふく」「町田の原風景 麦の里」など、地域の地名、歴史、景観を名前に取り入れた商品が認定されている。「まちだおかき」のような米菓や、「学園ぽてと」「まちだシルクメロンどら焼パンケーキ」などの菓子もある。これらは必ずしも原材料のすべてが町田産という意味ではなく、町田の土産品・地域商品として認定されているものである。地域性を重視するなら、商品名だけでなく、どの店がどこで製造し、何を町田らしさとして表現しているのかを見ると選びやすい。
原町田や森野で探す昔から続く食肉加工と惣菜
町田の名産品には食肉加工品も含まれている。過去から市の名産品として紹介されてきたものには、焼豚やソーセージ、ハムなどがあり、現在の認定商品も市公式の一覧で確認できる。ここで元の記事のように「町田市内のブランド豚を使ったハムやソーセージが市を代表する特産品」と一括りにするのは適切ではない。商品によって原料肉の産地や製法は異なるため、町田で加工・販売されていることと、原料まで町田産であることは別である。ただし、駅周辺や住宅地に精肉店、惣菜店、食肉加工店が残り、地域の商業と結び付いた食品が作られていることは確かである。土産として持ち帰る場合は保存方法や消費期限を確認し、持ち歩き時間が長い場合は常温品と要冷蔵品を分けて選ぶとよい。
町田駅周辺は一つの名物より多ジャンルを食べ歩く街
町田駅周辺のグルメの特徴は、一つの郷土料理に店が集中することではなく、飲食店の選択肢が非常に多いことである。町田市観光コンベンション協会が発行した町田グルメガイドマップでは、町田駅周辺を中心に多数の飲食店が紹介され、和食、洋食、中華、カフェ、居酒屋など幅広いジャンルを選べる。ラーメン店も複数あるが、「町田市の伝統名物がラーメン」とまでは言えない。むしろ、駅の利用者数が多く商業集積が大きいため、専門店同士が近い範囲に存在することが街の特徴である。昼は定食や麺類、カフェ、夜は居酒屋や各国料理というように、時間帯によって選択肢も変わる。初めて訪れる場合は、JR町田駅と小田急町田駅の間、原町田大通り、町田仲見世商店街、町田一番街などを歩くと店を探しやすい。人気店は行列になる場合があるため、特定店を目的にする場合は営業時間や定休日を確認したい。
町田仲見世商店街で楽しむ日常型の食べ歩き
駅周辺で町田らしい街の空気を感じながら食べるなら、町田仲見世商店街も候補になる。細い通路に飲食店や物販店が並ぶ商店街で、周囲の大型商業施設とは異なる雰囲気を持つ。ここでは一軒の高級店を目的にするより、軽食や惣菜を買い、周辺の店を見ながら歩く楽しみ方が似合う。ただし、商店街内の店舗は入れ替わることがあり、営業時間や休業日も一律ではない。インターネット上で長年「町田名物」と紹介される料理でも、現在の営業状況が変わっている場合があるため、来訪前には各店の公式情報を確認する必要がある。町田駅周辺の食文化は、歴史的な郷土料理だけでなく、現在進行形で店が入り替わり、新しい料理が加わる商業都市の食文化として捉えると分かりやすい。
薬師池公園や野津田方面では農と観光を組み合わせる
町田駅から離れた北部方面では、食事だけを目的に移動するより、薬師池公園、小野路、野津田などの散策と組み合わせる方法が現実的である。観光協会の案内には野津田や相原などの飲食店も掲載され、うどん店や地域の食材を取り入れる店などが紹介されている。北部は駅前のように店が連続している地域ではないため、徒歩だけで何軒も食べ歩く計画には向かない。バスや車での移動時間を見込み、観光地と飲食店の位置を先に確認しておく方がよい。また、農産物直売所は一般的な飲食店と営業時間が異なり、午前中で商品が少なくなることもある。町田の郊外で食を楽しむ場合は「店を巡る」というより、「公園や里山を訪ね、その途中で直売や食事を組み合わせる」と考えると無理がない。
まち☆ベジグルメ店で地産地消を確かめる
町田市は、町田産農産物をメニューに使用して料理を提供する店や、関連商品を販売する店を「まち☆ベジグルメ店」として登録し、地産地消を進めている。この仕組みを利用すれば、単に「地元野菜を使っているらしい」という評判ではなく、市の制度に基づいて町田産農産物との関わりを確認しながら店を選ぶことができる。ただし、登録店のすべての料理に常時町田産食材が使われているとは限らない。農産物には旬があり、収穫量も一定ではないため、その日の仕入れで使用食材が変わることも考えられる。特定の町田産野菜を食べたい場合は、注文前や予約時に確認すると確実である。地産地消という言葉だけを理想化するのではなく、近くで作られたものを必要な時期に無理なく使う仕組みとして見ることが大切である。
町田グルメを巡るなら季節と移動距離を意識する
町田市で食を目的に一日を過ごすなら、駅前と郊外を分けて考えると動きやすい。町田駅周辺だけなら徒歩で多くの店や名産品販売店を回ることができ、町田ツーリストギャラリーや市内の名産品取扱店で土産を探しやすい。一方、相原、小山、野津田、薬師池周辺などの農園、直売所、飲食店を組み合わせる場合は、バスや車を利用した方が効率的な場所が多い。野菜や果物は収穫期によって種類が変わるため、夏はトマトやナスなどの果菜類、ブルーベリー、秋冬は根菜類や葉物など、季節を意識すると地場産品に出会いやすい。名産品や加工品は年間を通して入手できるものも多く、生鮮品が少ない時期には和菓子、味噌、醤油、焼菓子などを中心に探す方法がある。町田の食の魅力は「これだけ食べれば町田を代表する」という単一の料理ではなく、商業地の多様な外食、長く続く食品製造、住宅地のそばに残る農業、新しい地産地消の取り組みが同じ市内に共存していることにある。食べ歩きと買い物、直売所巡りを組み合わせれば、観光名所だけでは見えにくい町田の日常に触れることができる。